と言えば、
 
          我が十番隊、誇りの三席。礼儀正しい。マジメ。几帳面。部下に優しい。
          気がきく。知り合いが多い。人気者。デスクワークが得意。実践も得意。

          ・・・とまあ、俺が思うだけでこんなにいい所があるのだから、
          他のやつらにも言わせたら、もっと出てくると思う。


          の周りには、いつもたくさんの人がいて、
          その中心で調子にのるでもなく、鼻にかけるでもなく、
          ふんわりと、花のように微笑むの姿は、どこか見惚れてしまうものがある。

          は、花のようなやつだと思う。
          ただ、この存在が皆を惹きつけてやまない。

          ──────まるで、舞い散る花びらのように。
         
          どこか、思わず惹かれ、見惚れてしまうのだ。







          「日番谷隊長。あまりご無理をなさらないようにしてくださいね」


          が俺の机の書類を少しどけて、温かいお茶の入った湯飲みを置いた。
          の入れるお茶は好きだ。

          温かさも、渋さも、全部俺好みで、教えたわけでもないのに、いつもこの濃さのお茶が出てくる。
          松本に入れるお茶は少し違う。
          松本のは、もう少し熱くて、俺のより少しだけ渋くない。


          前にに聞いてみたら、きょとん、とした顔をした後

          「だって、どうせ飲んでいただくなら“美味しい”って思ってもらいたいじゃないですか」
          と、言ってとても綺麗に微笑んだ。

          あの時のの表情や仕草を、俺は今でも鮮明に覚えている。


          何でそこまで覚えてるかって?

          まあ・・・あれだ。つまり・・・俺はのことが好きだってこと。





          そのはというと、付き合ってるやつがいるとか、好きなやつがいるとか、
          そんな噂、俺はひとつも聞いたことがない。


          まあ・・・あれだな。つまりは俺の“片想い”ってこと。







          俺は書きかけだった書類を一気に片付け、ポンっと判子を押した。
          ちらっとの方を見ると、も書類の区切りがついたらしく、
          数枚の書類を二・三束にわけてまとめていた。



          ・・・何か、話すべきなのだろうか。




          「─────、お前好きなやつとかいねえのか?」


          悩んだあげく、出てきたのがこんな質問で少し焦る。
          変に思われただろうか。
       
          だがもう言ってしまったからでは遅いし、前から気になっていたことだから・・・


          ・・・まあ、いいとしよう。




          はきょとん、と俺のことを見て、ふわっと微笑みながら俺の机の前にやってきた。



          「日番谷隊長は、いるんですか?」

          かくんっと小首をかしげてが聞いてきた。

          まさか逆に聞き返されるとは思っていなかった。
          手に持っていた筆がぽろっと指からすり抜けた。




          「あー・・・その・・・」


          何と言えばいいのだろう。
          “いるぜ”と本当のことを言うべきなのだろうか。
          だが好きなのはこの質問をした本人であって、どうしたらいいのかわからない。

          しばらく口ごもっていると、ぷっと吹き出す声がする。

          「日番谷隊長って、嘘、つけませんもんね」

          そう言って、ふわっと、花が咲くように笑った後、






          「私も日番谷隊長のこと好きですよ?」





          言ってもないのに俺の心の中見透かしたように。
          ちょっと恥ずかしそうに、笑うの顔を、穴があくほど見つめた後、


          仕切りなおし、とでもいうように小さく咳をする。



          あー・・・つまり、あれだろ?

          俺の気持ちはバレバレってわけで、

          “私も”ってことは・・・“両想い”ってことだろ?





         舞い散る花びらに接吻を






          

          はじめまして。こんにちは。
          今回はこのような企画に参加できて嬉しく思います。へへ。
          ヒロインの子が、何かわからないけど自信満々で日番谷くんたじたじ、みたいな・・・(笑

          今年は映画でも(主役なみの出演)日番谷愛vが飛び交いそうですね。
          それではこのへんで・・・。
          ありがとうございました。
          
          2007/12/ 千菜 titel by→36℃さま