LOVER BOY
「可愛くねェ女。」
ぐいっと着物の襟元を掴まれて、その人は顔をわたしに寄せた。
鋭い眼光に吸い込まれそうな緑。
そして白銀の世界がそこにあった。
冬獅郎とは何度か、体を重ねていた。
だけど恋人というには程遠く、友達というには笑っちゃうような関係で
ただ、体を合わせるだけの関係でしかなかった。
死神の中でも落ちぶれている私を、救ってくれたのが彼で。
目をかけて力の使い方を教えてくれたりしたおかげで今は十番隊の五席まで上り詰めた。
それなのに、それなのに、
「何が、気に入らないのよ。」
ぐっと言葉に力が篭る思いで彼を睨みつけた。
冬獅郎が何故怒っているのかも、彼の意図も、全く分からない。
「何が気に入らねェだと?お前の存在がな、気に入らねーんだよ」
吐き捨てるようにドンッと私を突き飛ばせば、ただ、見下したように嘲笑う。
(この人は、私より幾分低い背の癖に何故かいつもこんな顔をする)
そう、ベッドの中でも。
いつも 私を 嘲笑う。
「そんなに…っ…気に入らないなら、どうして…」
強く唇を噛み締めたら、血の匂いががした。
「どうして私を救ったりしたの!!!」
顔を上げた瞬間に強く髪を引かれて「いたっ」と嘆いた瞬間に
合わせられる唇。
「ンッ!」
どんっと反射的に突き飛ばして冬獅郎を見上げれば、
いつもの嘲笑う表情なんてどこにもなくて。
「分かんねェのかよ?」
余裕のないようなそんな目で
(そんな、まさか、だって!)
「う、そ?」
「誰が嘘つくかよバーカ。」
「冬獅郎、まさか…」
「あ?」
「ずっとわたしに、恋してたの?」
「………知るか!」
微かに頬を紅らめて、彼は私から目を逸らす。
「冬獅郎、あのね。私も―…」
ずっと言えなかった言葉を言おうしたら
振り返った冬獅郎が、
「。俺の傍を離れるんじゃねェぞ。」
好きなんて言う前に遮られて
息を呑んで見つめた彼の屈託無い笑顔
(なんて愛しいんだろう)
20070316*アトガキ
愛しさあまって憎さ百倍。上に上って目立ち始めた彼女を回りが放っておくわけありませんよね。やきもちやき&ドSさんなヒッツーでした。(ドSなひっつーとか嫌だ)
二人共恋人同士じゃないんだけど、相思相愛、そしてひっつーはラバーボーイ。なんていう…あれ、わけ分かりませんね。素敵なお題なのに私のせいでこんなっこんなっ(ずーん)
日番谷オンリー参加型夢小説企画「36℃」様に献上!(title16.LOVER BOY) 慧*